和牛も見た目から味へ!

by スタッフいぶさな

ゲノミック評価とは

今、和牛業界ではサシ重視よりも美味しさを求めるような動きがあります。
その美味しいお肉を作るために参考にされているのがゲノミック育種価という遺伝子能力の評価値です。

ゲノミック育種価という言葉を初めて聞く方も多いのではないでしょうか。
私もあまり馴染みがないので説明が難しいのですが参考までに簡単にまとめてみました。

ゲノミック育種価はサシの良く入る肉質なのかだったりたくさんお肉がとれる大きな牛になるかなどを、遺伝的能力を調べることで数値化したものです。今は次世代の種牛作りにもこの情報は欠かすことはできません。また、ここで得られた数値を参考に能力の高い子牛作りに挑む繁殖農家さんも増えてきています。そして目に見える評価(サシの量や大きさ)に加え、一価不飽和脂肪酸(融点の低い脂でオレイン酸やリノール酸など)の遺伝率も記載されるようになりました。
※オレイン酸などの脂肪酸は食味に影響すると言われており、とても注目されています。
写真はいぶさな牛のお肉です。サシや増体改良されていない牛なのでサシの入り方やお肉のとれる量で低評価となってしまいます。

いぶさなの現状

『いぶさな』ではなぜ馴染みがないかというと…
いぶさなのお肉づくりは竹の谷蔓牛の血統を基本としているからです。竹の谷蔓牛はゲノミック育種価をしていないので意識することは今のところありません。それと味わいは実際に食べて判断してエサや育て方を調整するというアナログな感覚で今は行っているからです。もう少し出荷頭数が増えればデータ管理もできるかなと思っていますがほど遠いです。

子牛作り

㊧竹の谷蔓牛の子牛 ㊨現代の血統の子牛 
※どちらもうちで生まれましたが㊨の子は子牛セリに出荷します。
見た目の違い伝わるかな…


一般的な子牛を生産する現場ではどんな牛をこれから作っていくかをゲノミック育種価にも重点を置いて判断しています。もちろん培ってきた感覚なども大事にしていますが、和牛の改良は現在こんな感じで進められてますね。

ゲノミック評価の高い母牛と種牛を掛け合わせて能力の高い子牛を作るだけではなく、受精卵採取も過熱しています。牛は人間と同じ妊娠期間で1年で1産ペースです。牛の一生でも10頭出産できる牛はそう多くはいません。ですが、受精卵を採ればより能力の高い子牛を多く残せる可能性ができます。この技術もここ数年で体内受精から体外受精へ、屠畜後にとれた卵巣から卵子を採取して受精卵を作ることができたり…日々技術が進歩しています。

とても興味深いですよね~書き始めると止まらないのでそろそろ、美味しいお肉の方に話を戻しますね。

ゲノミック育種価でも注目されている一価不飽和脂肪酸は、融点の低い脂質です。この成分が多いとくちどけも良く美味しく感じるそうです。
もっと美味しい和牛となるよう、最新技術をもって今取り組みが行われています。どうでしょう?美味しくなっていますか?

いぶさなでもゲノミック評価はまだしませんが、不飽和脂肪酸は計ってみようと考えています。食べて判断するだけでなく、数値化することでもっと美味しいお肉作りができるようになると思いますしなにより私自身とても興味があります。どんな結果でも…!
竹の谷蔓牛、わからないことばかりですので楽しみです!

 

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