旨赤・いぶさな牛の誕生
「いぶさな牛」は、
“いいとこどり”のハイブリッドな和牛
「いぶさな牛」は、宮崎県児湯郡川南町の森木畜産だけで生産されているブランド和牛です。
岡山県原産の日本最古の和牛の純血種である「竹の谷蔓牛」と黒毛和牛をかけあわせて作られました。
「竹の谷蔓牛」は体質的に脂肪が乗りにくく赤身の割合が多い、いわばアスリートのような肉質が特徴です。
「竹の谷蔓牛」の赤身は野性味が強く、肉質もとてもしっかりしており、そこに黒毛和牛をかけあわせることで赤身の中に適度なサシが入り、甘さと香りを損なわず美味しく食べやすいバランスが生まれました。
竹ノ谷蔓牛。
いぶさな牛のルーツとなる日本最古の和牛。
「いぶさな牛」が幻の和牛と評される理由
幻の和牛と評される理由は赤身の旨さはもちろんのこと、その希少性も無視できません。
一般的な黒毛和牛28か月〜30か月で出荷されるのに対し、いぶさな牛は約40か月の長期肥育がされています。
もともと竹の谷蔓牛は体格が大きいこともありますが、時間をかけて無理なくゆっくりと成長させることで味が乗ってくる。飼育段階において肉を熟成させ美味しさを最大限に引き出す方法です。飼料を成長期ごとに細かく変えるなど、とにかく手間暇を惜しまずに育てること。そして頭数においても年間10頭しか屠畜(とちく)されないため、めったに口にできないことも幻の和牛と言われる所以です。
長期肥育で、手塩にかけて育てる。
“旨い赤身”というのは、
本来の和牛の味そのもの
日本人の中に「和牛のうまさは霜降り」というイメージが大きく定着しているが、実は和牛の原種というのは赤身が最大の特徴でもあります。
日本人の食生活の変化でサシが多く入る肉質が好まれるようになり、原種に近い本来の和牛にサシが多く入るように改良が重ねられた結果、口に入れた瞬間にとろけるような甘い肉質が和牛の代名詞になり、いつのまにか和牛本来の赤身は忘れられていました。
いぶさな牛を作り出した森木畜産の森木清美さんはもともと宮崎牛を育てる畜産農家をしており、試行錯誤を繰り返して理想の肉の味を求めていました。
理想の味には近づいたものの、「何かが違う、けれど何が違うかわからない」というどこか納得しきれない想いをずっと抱いていた。そんな中、口蹄疫(※)が森木さんを襲い飼育していた牛のすべてを失いました。もう一度自分の理想の牛づくりをしようと再起をかけ、全国を奔走する中「竹の谷蔓牛」に出会います。この牛を食べた時、まさに森木さんが今まで探し求めていたパズルの最後のピースがはまったような衝撃があり「この味だ!」と確信しました。
このしっかりと力強い香り、そして赤。「昔食べた、ほんとうの和牛」の味がした。
※家畜伝染病のひとつ。2010年に宮崎県で発生した口蹄疫で29万7,808頭もの家畜の尊い命が犠牲となり、畜産業のみならず、地域経済や県民生活に甚大な影響を及ぼした。