【肥育と繁殖】
和牛農家といっても、すべての和牛農家がお肉となる肥育牛を飼っているわけではありません。じつは和牛農家は大きく2つの業態に分かれます。
①繁殖農家
②肥育農家
ちなみに、いぶさな農場はこの両方を行っています。 両方行うことを
③一貫生産農家
と言います。
今回は繫殖農家について書いてみます。
【①繫殖農家のお仕事って?】
繫殖農家は母牛に子牛を生ませ、それを約10カ月ほどまで育てて子牛セリに出して売ります。
肥育農家は子牛セリで好みの子牛を「肉用牛」として買います。 繫殖農家も繁殖用の母牛として雌の子牛を「繁殖用牛」として買います。
繁殖農家は子牛を売ったお金で生計を立てているので、日々どうしたら高値の付く子牛になるかを考えています。
【高い子牛の条件】
・人気の血統の子牛
人気の血統の子牛は、サシが良く入り肉量がとれる確率が高いです。
・大きく体重が重い牛
背が高く体重が320~350㎏程あると宮崎県児湯市場では値段が上がります。
【どうやって高い値段がつく子牛をつくるのか】
≪人気の血統の子牛を生ませる方法≫
①人気の血統もしくは評価の安定した血統の母牛に、人気の種牛の種をつける。ちなみに今は「福之姫」という種牛が人気です。
②普通かそれ以下の評価の血統の母牛でも、繁殖成績が良ければ人気の血統の受精卵をつける。
言うのは簡単ですが、母牛に毎年1頭生んでもらうためには色々と工夫が必要です。
まず、繁殖成績の良い牛をそろえていきます。母牛はまずこの能力は必須です。繫殖成績の良い母牛から生まれた子牛も繫殖成績が良い可能性があるので余裕があれば自家保留(セリに出さずに母牛として育てること)して、自分の農場の繁殖成績を高めます。
次にボディコントロール。子牛を生んで40~60日後にはもう種付けを行います。なかなかハードですね。妊娠、出産、育児で激変する状態の中でも体調を安定させるため、飼料や粗飼料(牧草)様々な栄養を食べさせることで体調管理をします。
繁殖農家は粗飼料(牧草)を自分たちで作っていることが多いので、牧草を上手に作れる農家は母牛の繁殖能力も高く、母乳の状態も良いので子牛の体調も安定しています。
≪大きく体重のある子牛に育てる方法≫
何と言っても子牛の健康管理に気を配ることが基本です。子牛は体が小さいので気候の変化に影響を大きく受けます。
10℃以上の気温変化があると体調を崩す子牛が出てきます。毎日の観察と初期対応が重要です!
餌を食べだしたら、量を調整をしてたくさん食べれる子牛に育て上げていきます。 どんな飼料を食べさせるのか、牧草は何を使うのか・・・経験を積みなが独自の方法を編み出していきます。そして牧草をたくさん食べれる子牛に育て上げていきます。牧草をたくさん食べれる子牛は、良い肥育牛となる可能性がたかいので需要があります。
子牛を育てるのが上手な農家さんは肥育農家にも覚えられています。その人の牛だから買うという事よくあることです。
こうして手塩にかけて育てられた子牛はセリにかけられ、肥育農家の 手に渡り肥育牛として育てられます。